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前回の記事では、身体機能の変化についてお伝えしました。
今回は、さらに見過ごされがちな**「物忘れ」や「感情・行動の変化」**について、詳しく解説します。
これもまた、介護が必要になる前の大切なサインかもしれません。
物忘れの種類と特徴
「年を取ると、誰でも忘れっぽくなる」 そう思っていませんか?

でも、実は**「加齢による物忘れ」と「認知症」は全くの別物**です。
この違いを早く知ることが、早期対応への第一歩となります。
認知症の初期サイン

- 最近の出来事を思い出せない
何十年も前の話は鮮明に覚えているのに、つい最近の出来事を忘れてしまう。
同じ話を何度も繰り返すようになった、というのもサインです。
たとえば、昨日食べた夕食を思い出せないことは誰でもありますが、認知症の初期では「ご飯を食べたこと自体」を忘れてしまうことがあります。 - 物の置き忘れや探し物が増える
「あれがない」「これがない」と一日中探し物をしていませんか?
よく使うリモコンや鍵を、普段置かないような場所に置いてしまうこともあります。
中には、お薬をどこに置いたか分からなくなり、飲み忘れてしまうケースもあります。
持病が悪化する原因にもなるので、特に注意が必要です。 - 日付や場所の認識が曖昧になる
「今日は何月何日?」と聞かれても答えられなかったり、季節を間違えるようになった。
今が令和なのに、「昭和何年?」と聞かれることもあります。
また、慣れ親しんだ自宅なのに「ここ、どこだろう?」と分からなくなったり、昔住んでいた場所の名前を口にしたりすることも、大切なサインです。 - 段取りや判断力の低下
料理の手順が分からなくなったり、今まで使っていた家電製品の操作ができなくなったりしていませんか?
買い物の際、細かい計算ができず、毎回大きなお札を出してしまうといった金銭管理のミスも増えてきます。
冷蔵庫の中が整理できず、賞味期限切れの物を食べてしまう危険性もあります。
同じものばかり買ってくるようになった、というのもよく聞く話です。
感情や行動の変化
身体や物忘れだけでなく、日々の感情や行動にも注意してみてください。

- 急に怒りっぽくなった、頑固になった
もともと持っていた性格が、より強く出てくることがあります。
些細なことでイライラしたり、疑い深くなったりしていませんか? - 意欲の低下
これまで好きだった趣味や活動に関心を示さなくなった。
外出を嫌がったり、友人との付き合いが減ったりしていませんか? - 昼夜逆転
夜中に起きて活動し、昼間に眠ってしまう、というサイクルになっていませんか?
これはご家族の睡眠不足にもつながり、介護の負担を大きくしてしまいます。 - 身だしなみや衛生状態の変化
お風呂に入るのを嫌がったり、同じ服を何日も着続けたりしていませんか?
口臭や体臭が気になり始めたら、歯磨きやお風呂を忘れている可能性があります。
おしゃれが好きだったのに、身だしなみに気を遣わなくなったというのもサインです。 - 部屋が散らかってきた
ゴミを溜め込んでしまったり、掃除機をかける回数が減ったりしていませんか?
電気や水道の消し忘れ、止め忘れが増えた、というのも注意が必要です。
大切なのは「どうするか」を知ること
「もしかして、認知症かも…」 そう思っても、一人で決めつけたり、抱え込んだりしないでください。
まずは、専門医に相談することをおすすめします。
診断名がつくことで、ご家族も「どう向き合うか」を考える心構えができます。
早期発見、早期対応ができれば、お薬で進行を遅らせたり、症状を和らげたりすることも可能です。
そして、地域包括支援センターなど、介護の相談窓口に頼ることも非常に大切です。
あなたの気づきが、未来を豊かにする第一歩に
フレイルやサルコペニアといった言葉を聞いたことがありますか?
これらは**「健康な状態と要介護状態の中間」**を指します。
小さな変化に気づくことは、早期に対応し、介護の負担を最小限に抑えるための最良のスタート地点です。
早く気づけば気づくほど、残された選択肢は増えていきます。

理学療法士としての経験上、私は強くそうお伝えしたいです。
あなたの気づきが、ご家族との未来をより豊かにする第一歩となりますように。